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ケヴィン・スミス監督
『コップ・アウト』

文=

updated 09.08.2010

文=川本ケン ブルース・ウィリス演じるベテラン刑事と、トレイシー・モーガン(『サタデイ・ナイト・ライヴ』出身のコメディアン)演じる、その相棒で人の良いマヌケ刑事が、しょーもない事をしゃべり合っているうちに、小さな事件から凶悪な悪人どもの活動に巻き込まれてゆくという、典型的なアクション・コメディ。 のつもりで見ていると、それにしてもそのしょーもない会話部分での映画の止まりっぷりがすさまじく、そのあたりでようやくケヴィン・スミス監督作品であったことを思い出す次第。 とはいえ、いつものスミス的要素が炸裂するわけではなく、あくまでお仕事をこなそうという姿勢なのに、そこで起こっている出来事に監督自身がどうしても集中できず、ついつい脱線してしまったというかんじ。 ウィリス演じる刑事が、別れた妻と暮らしていた娘の結婚式費用を捻出するため、超ヴィンテージもののベースボール・カードを売ろうとしたところでたまたま強盗たちにそれを奪われ、という導入はお約束としても、それを取り返そうとする過程では、相棒のモーガンは妻の浮気への疑心に苛まれ捜査どころではないし、挙げ句の果てにはカードを奪った強盗自身(ショーン・ウィリアム・スコット)にまで助けを求めなければならなくなり、おまけに、同じ警察署のアホなふたり組刑事には汚職を疑われたりする。 観客の側も、時々これは何の話だったっけ? と首をひねることになるが、それでも映画はぎりぎりのところで回収され、なんとかコメディの圏内に着地する。 その狙っているのかどうかわからないスリリングな佇まいも含めてケヴィン・スミスの腕力であり、かつブルース・ウィリス&トレイシー・モーガンというスターの説得力ということになるのだろう。たぶん。 『コップ・アウト ~刑事(デカ)した奴ら~』 銀座シネパトス、ワーナー・マイカル・シネマズ板橋 他、全国公開中!

公開情報

© 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.



初出

2010.9.08 15:00 | FILMS