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もはや“ジジイもの”ですらない

パトリック・ヒューズ『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』

文=

updated 11.05.2014

スタローン本人が監督した『エクスペンダブルズ』第一作も十分に楽しかったけれど、その楽しさの大きな部分が、「スタローンとシュワルツェネッガーが共演する上に思いつく限りのアクション・スターがぶちこまれる」という企画要旨だけで到達されるものではあった。正直なところ映画そのものは、お約束にしたがったごっこ遊びにつきあっているような、面白いんだけどこちらも積極的に乗ってあげなければ完全には楽しみきれない、というような感覚が最後まで抜けきらなかった気がする。

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いや、それはやはり、スタローン、シュワルツェネッガー最盛期の映画を、なんのメタ視線もなく手に汗握って見つめていた中学時代の記憶が参照点にあり、しかもそもそもあの映画自体が、そういうわれわれの記憶の上に築き上げられた企画だったのだから仕方ない話でもあった。

ところがシリーズも三作目となると、もう「アクション・スター勢揃い」という企画の「つかみ」は当たり前のものとなり、結局映画として面白いのかどうかというところだけがキモになる。そしてこの映画は、見事なまでに普通に面白くできあがっているのであった。

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すでにキャラクターは出来上がっている。キャストは相変わらず鉄板。ならばどうやっても面白くしかなり得ないのかといえば、事実はその逆。ハッキリいってこのレベルにある企画を、一定以上の水準に引っ張り上げるのは至難の業だろう。それこそ、放っておけばそれこそキャスト自身の持つキャラクターに寄りかかった学芸会になりかねない。しかも、多少はそういう要素がなくてはファンに叱られる。そう考えると、まだ手探り状態、企画剥き出しの状態にあった第一作が少なくともあの場所に着地していたのは、監督スタローンの手腕あってのことだったのだということもわかってくる。

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そういうわけで、主人公のバーニー(シルヴェスター・スタローン)とその次元大介的な心優しき相棒リー(ジェイソン・ステイサム)をはじめ、民間軍事会社社長のトレンチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)、CIAのお偉方マックス・ドラマー(ハリソン・フォード)、“オリジナル・メンバー”ドク(ウェズリー・スナイプス)、おしゃべりスペイン野郎ガルゴ(アントニオ・バンデラス)、寡黙なガンナー(ドルフ・ラングレン)、チビのイン・ヤン(ジェット・リー)といったオヤジたちに加えて投入される“新人たち”、そして彼ら全員を向こうに悪役として暴れまくる“元エクスペンダブルズ”のストーンバンクス(メル・ギブソン)といった面々が、それぞれキッチリと活躍の場を与えられながら、そのせいで映画全体が見せ場のオムニバスになってしまうということもなく、良い感じのバランスで一本の“荒唐無稽なやりすぎアクション映画”として見事な仕上がりを見せてくれるのであった。これはもう、“ジジイもの”というジャンルの映画と思わなくても、全くあたりまえに楽しめる。

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配給:ポニーキャニオン/松竹