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『パラノーマル・アクティビティ 2』

ジャンルとしてのフェイク・ドキュメンタリー

文=

updated 02.17.2011

もはや「本物のドキュメンタリー」であるという装いをすることすらない、劇映画の一ジャンルとしての「フェイク・ドキュメンタリー」。続編とはいえ、内容としてはほぼ前作で起こった出来事が、より大きな規模でより丁寧に、ただし一軒の家の内部で起こるという条件だけはそのまま踏襲しながら展開されるというもの。手持ちの一人称カメラですらが、屋内各所に設置された監視カメラという固定複数視点の導入によって極小化され、しかも画面分割によって同時に数カ所を眺めることが可能になり、全体として(目が疲れないという最も素朴なレベルでも)非常に見やすくなっている。「極小予算で驚異の収益を叩き出した」という興業レベルでの「事件」=極点として登場した作品が、たちまちのうちに平準化され、中間地点で娯楽としての一般性だけを数段階向上させた。それがこの作品である。つまりは、前作よりもはるかにサービスが多く面白くできているし、安心して見ていられる。

では何が失われたのか。それはもちろん、「これはフェイクかどうか」と自問自答しながら画面を追うスリリングさということになるだろう。だがしかし、一作目にはそうしたスリルが存在していたとしても、そのままそれを二作目にまで持ち越すのは不可能なことであって、本作の開き直りはきわめて正しいと言える。

さてそれならば、事件性の方を尖らせる「フェイク・ドキュメンタリー」の作り方というものは、まだ残っているのだろうか。それを考えるのが、この規模の予算など考えも付かない日本のインディペンデントな作り手たちのすることだろう。なにしろ、いつでも結局、質は事件性に負け去る運命にあるのだから。質そのものが事件になるのならそれもまた別の話だが、そのためにはジェームズ・キャメロンの資本力を必要とするだろう。

『パラノーマル・アクティビティ 2』
シネマサンシャイン池袋/TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国拡大公開中!!


オフィシャルサイト
http://www.paranormal2.jp/
予告編

公開情報

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初出

2011.02.17 08:00 | FILMS