人は見たいモノだけを見る。信じたいモノだけを信じる。という命題を基に作られた映画はいくつもある。すぐに思い浮かぶのは、俳優ビル・パクストンが出演・監督した『フレイルティー』だが、この作品では「このあり得ない話がもし本当だったらどうする?」という問いかけが映画をドライヴしていた。
「本当だったらどうする?」というのは、環境や時間帯によっては直ちに心霊モードを起動させかねないなかなかに強力な問いかけではある。その前に「信じないならいいけど」というのがついて、その後に「でも本当だったらどうする?」と来る。すべてを否定するという選択肢をあらかじめ提示することによって差し挟まれる、「本当かも」というほんの0.01%ほどの疑い。だが、疑いというものはどんなに小さくても、出現した途端にすべてをオセロのように転倒させる力を備えている。
この映画の主人公もまたそういう疑いに駆られて、超常現象の不在を証明するという極めて不毛な活動をしている。もちろん、不在の証明に血道をあげるということはすでにしてその現象自体に取り憑かれていることを意味しているわけで、100%の疑いが100%の信仰に支えられていることを告白しているも同然なのだ。
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『レッド・ライト』
2013年2月15日(金) TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
©2011 VERSUS PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS S.L.
(NOSTROMO PICTURES) / VS ENTERTAINMENT LLC
オフィシャルサイト www.red-light.jp
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初出
2013.02.14 15:00 | FILMS