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The Walking Dead

ビッチは文明の終わりを生き延びる?

ドラマ版『ウォーキング・デッド』ローリ役
サラ・ウェイン・キャリーズ インタヴュー

インタヴュー・文
写真=藤田二朗=

updated 01.10.2012

「シーズン2からのローリは、少しずつ原作から離れていくことになると思う。いちばん決定的なのは、夫であるリックのことを、何があってもサポートしてゆく決心をすることね。彼の判断を支持し、支えてゆく。そこからローリは、あのグループにとって、人間性の象徴のような存在になってゆく」

ゾンビ大発生という災厄の後で、人間がどのように生きることになるのかということが、ここで探求される物語であるとすれば、肉体的な性差を補正する社会システム=現代文明が崩壊した世界において、男女の役割がどのように進化あるいは退化してゆくのかということもまた、主題の核心部に触れる問題となるだろう。翻って現代社会を考える上では、最も重要かつ刺激的な領域ですらあるのかもしれない。

そう考えると、サラ・ウェイン・キャリーズという、極めて意識的な女優によってローリという人間が解釈され/演じられ、それによって物語そのものの展開もまた本質的な影響を受けてゆくというのは、あまり例を見ないスリリングな事態ではないだろうか。しかも、(怖ろしすぎて)ほとんどゾンビものを見たことがないというニュートラルな視線の持ち主であるからこそ、ジャンルそのものの持つ引力に引き寄せられ過ぎることのない仕事が可能となったのだろう。


サラ・ウェイン・キャリーズ
最後に彼女はクスクスと笑いながら、「最初にロバート(カークマン)に会ったときには、いきなり“きみはこの物語をメチャクチャにしてくれたね”って真顔で言われたの。ぎょっとして青くなりかけたら、“冗談だよ! 最高の仕事をしてくれてるよ”って笑われたけど。彼はそういう人なの」

そういうわけで、共にカークマンの想像力の中にあり、かつ同じメイン・キャラクターが登場する原作版とドラマ版『ウォーキング・デッド』ではあるが、どちらを先に体験しても、本質的な意味での「ネタばれ」を心配する必要はない。それぞれがそれぞれの領域において、徹底した探求を行っているのであるから。

□『ウォーキング・デッド』とは?
アメリカ本国では、昨年末15巻目のペーパーバック版が刊行された、大ヒット・コミック・シリーズ。主人公リックとその家族、そして少数の仲間たちが、ゾンビによって文明の崩壊したアメリカを彷徨いながら生き続ける姿をどこまでも描くという、これまでにありそうでなかった画期的なゾンビ・コミックである。
そのコミックを原作とし、『ショーシャンクの空に』や『ミスト』の監督フランク・ダラボンが中心となって立ち上げたのが、ドラマ版『ウォーキング・デッド』。現在はシーズン2前半の放送が終了したところ(3月から後半の放送開始予定)。すでにシーズン3の製作も発表ずみである。


(c)TWD productions LLC Courtesy of AMC

 

■『ウォーキング・デッド』放送情報
FOX bs238にて放送
シーズン1: FOX bs238にて1月13日(金)放送開始 毎週(金)21:00−22:00他
シーズン2: FOX bs238にて2月24日(金)放送開始 毎週(金)21:00−22:00他
※シーズン2第1話のみ70分
公式サイト: http://foxbs238.tv/


(C)2010 American Movie Classic Company, LLC. All Rights Reserved.

 

■ DVDリリース情報
発売・販売元:角川書店
シーズン1DVD 2012年2月3日レンタル開始、2月24日DVD&Blu-ray BOX発売!
★公式サイト: http://www.kadokawa-d.jp/lineup/walkingdead/index.html

■ 原作コミック情報
第1巻は飛鳥新社より発売中。第2巻は2月下旬刊行予定!
★公式サイト:http://www.asukashinsha.jp/walking-dead/

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初出

2012.01.10 11:00 | PICKUP